臨床

 横浜市立大学附属病院リハビリテーション科は、内科(血液リウマチ感染、呼吸器、腎・高血圧、循環器、内分泌・糖尿病、脳神経、消化器)、臨床腫瘍科、脳卒中科、総合診療科、精神科、児童精神科、小児科、外科(心臓血管、消化器、一般、呼吸器、乳腺甲状腺)整形外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、脳神経外科、形成外科等の診療科から、依頼を受け、674床の入院患者さん並びに外来患者さんのリハビリテーションを実施しています。
 リハビリテーション科診療専用病床は5床で、リハビリテーション科診療患者数は、のべ4883人/月です。疾患別患者数は、(1) 脳血管障害・頭部外傷等 約3500人/年、(2) 運動器疾患・外傷 約11700人/年、(3) 外傷性脊髄損傷 約170人/年、(4) 神経筋疾患 約3500人/年、(5) 切断 約170人/年、(6) 小児疾患 約1200人/年、(7) リウマチ性疾患 約1200人/年、(8) 内部障害 約10500人/年、(9)その他(悪性腫瘍、糖尿病、周術期リハ、慢性疼痛) 約27000人/年です。 施設基準は、脳血管疾患等リハビリテーションに関する施設基準Ⅰ、運動器リハビリテーションに関する施設基準Ⅰ、心大血管疾患リハビリテーションに関する施設基準Ⅰ、呼吸器リハビリテーションに関する施設基準Ⅰと最上位の施設基準をクリアしています。
 リハビリテーション部門のスタッフは、医師常勤6名非常勤2名、理学療法士常勤15名非常勤1名、作業療法士常勤7名、言語聴覚士常勤1名となっています。
 また、特定機能病院、高度先進医療承認、臨床研究中核病院、卒前・卒後教育病院など、教育、臨床、研究の3本柱を高いレベルで実践しています。リハビリテーション科対象疾患は悪性腫瘍、難病、多くの合併症を有する骨関節外科手術など重症、難治、対応困難例が多くなっています。ほぼすべての診療科からリハビリテーションの依頼があり、小児から高齢者、脊髄損傷や四肢切断などの外傷から悪性腫瘍、神経難病などの生命予後不良疾患まで、脳神経疾患から骨関節疾患、内部障害までと、多様な病態に対してリハビリテーション医療を提供しています。理学療法士・作業療法士に対するすべてのリハビリテーション処方はリハビリテーション科医師から出され、安全かつ質の高いリハビリテーション治療を保障しています。また、横浜市内の主なリハビリテーション病院・施設に医師を派遣し、良好な相互協力体制が確立されています。
新患数推移
1)周術期リハビリテーション(Y-PORTs)
 開胸・開腹を伴う大手術においては、手術による侵襲や術後合併症により身体機能の低下や在院日数が長期化するリスクを伴います。当院では、周術期医療の一環としてリハビリテーション医療を実施しています。
 開胸・開腹を伴う大手術(心臓外科手術、食道癌、肝胆膵癌等)や、術前に呼吸機能障害やフレイル(低体力)を有するハイリスク患者に関しては、手術前に主科からリハビリテーション科に併診が依頼され、理学療法士が手術前の運動指導、呼吸訓練等を実施します。手術後は集中治療室(ICU)入室中の手術翌日から離床を開始、退院まで一貫したリハビリテーション治療を提供します。
 当院ではこのような取り組みを周術期リハビリテーション管理システム(Yokohama City University Hospital Peri-Operative Rehabilitation Therapy Management System:Y-PORTs)として体系化し運用しています。
 また、手術室と連携し、周術期患者を対象としたパンフレットに術前のリハビリテーションに関する項目を取り入れ、リスクの少ない周術期患者に対しても術前指導が行えるよう取り組みを行っています。


2)集中治療室(ICU)での急性期リハビリテーション
 近年、集中治療領域におけるリハビリテーション医療の重要性が認識されてきており、2018年4月には特定集中治療管理料に対する加算として早期離床・リハビリテーション加算が創設されました。
 当院では加算の創設に先んじて、2017年11月より理学療法士を集中治療室(ICU)に常駐・専従配置し、急性期のリハビリテーション医療の充実を図っています。多職種でカンファレンスを実施し、人工呼吸器装着中や術後急性期から積極的に離床や運動療法を行っています。
 専従配置とすることで多職種と綿密な連携が図ることができ、ICU患者における人工呼吸器管理期間の短縮、在院日数の短縮など集学的治療の一環としてのリハビリテーション医療の効果が示されています。


3)心臓リハビリテーション
 心臓リハビリテーションは「心疾患患者の最適な身体的、心理的、社会的状態を回復および維持し、基礎にある動脈硬化の進行を抑制し、さらに罹病率と死亡率を低下させることを目指す多面的介入」であると定義されています。近年、心血管イベントの再発率の低下や生命予後の改善など、科学的な有効性が蓄積されつつあり、心大血管治療において重要な治療の一つとされています。
 当科では、循環器内科や心臓血管外科と協力して、心大血管疾患の発症早期あるいは手術直後から超早期・早期リハビリテーションを展開し、徹底したリスク管理の元、患者様の円滑な回復や日常生活の向上に貢献できるように務めています。また、心臓リハビリテーションは退院後も継続して実施することが非常に重要であり、リハビリテーション科医師・理学療法士・循環器内科医師・看護師など多職種が介入する外来での心臓リハビリテーションを積極的に実施しています。加えて、循環器内科医師と協力して、心肺運動負荷試験(CPX: Cardiopulmonary Exercise Test)を積極的に実施し、正確な病態生理の評価・運動耐容能の評価を元に、患者様への運動処方を実施しています。心臓リハビリテーションについては横浜市立大学附属病院ホームページ「心臓リハビリテーション」(https://www.yokohama-cu.ac.jp/fukuhp/section/center_disease/sinnzourihabiri.html)もご参照ください。
 また当院は、令和元年度より「横浜市心臓リハビリテーション推進事業」における強化指定病院・研究拠点病院に指定されました。これにより当教室は、横浜市立大学の各教室、横浜市や企業などと一体となり、「産学官連携」した心臓リハビリテーションのさらなる診療体制の拡充、地域の医療・保健・福祉体制との連携推進、そして心臓リハビリテーションにおける研究開発などを今後進めて参ります。


4)乳癌術後のリハビリテーション治療
 当院では乳癌術後の合併症(肩関節可動域制限、リンパ浮腫)の予防・加療のため、乳癌手術予定の方全例にリハビリテーションを行っています。主科を通じて外来受診していただき術前評価を行い、手術翌日よりリハビリテーションを実施します。退院後は改めて当科外来を受診していただき、必要と判断した方には一定期間の外来リハビリテーションを提供しています。

5)痙縮に対するリハビリテーション治療(ボトックス、ITB)
 脊髄疾患(脊髄損傷、遺伝性痙性対麻痺など)、脳血管疾患(脳卒中、脳外傷など)、脳性麻痺などの患者さんを対象として、毎週火曜日・木曜日の午後にボツリヌス治療、ITB(バクロフェン持続髄注)療法を中心とした痙縮治療を行っています。

6)リンパ浮腫に対するリハビリテーション治療
 当院形成外科でのリンパ浮腫治療を受けている方を主な対象として、リンパ浮腫外来を行っています。形成外科を通じて外来受診していただき、当科医師による診察の上で理学療法士・作業療法士より体操指導を中心としたリハビリテーションを提供しています。

7)装具治療
 装具治療は、月曜午後と水曜午前の装具外来で、障害に合った義肢・装具を医師が処方し、義肢装具士が作製後、義肢・装具の適合を医師が判定し効果的なリハビリテーションを実現させます。また、自助具やスプリントは、医師がリハビリテーション依頼箋にて、作業療法士に依頼し、障害に適合すべく作業療法士が自助具やスプリントを作製します。
 義肢は上肢の義手、股離断・大腿切断・下腿切断などの義足を処方し、生活・活動度に合わせたパーツの選定を行います。装具は、脳卒中の片麻痺のための下肢装具や、リウマチの方の靴型装具、脊髄損傷の方の車いすなど多岐にたる要望に応えるべく、医療保険制度・総合支援法・労災などの枠組みの中で、必要な装具を処方します。約100件/月におよぶ装具外来を、5名の医師と5業社で、対応しています。

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